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デニムで死ぬ!?

先日のベルリンでのヨーロッパ最大のカジュアル系合同展Breade & Butter視察、かなり複雑な気持ちでした。
おしゃれというのは、気合をいれて頑張るものです。
とんがったヒールで石畳を歩くとか、夏に革ジャンとか、冬に半袖ニットとか。
今、誰でもジーンズの2~3本は持っていると思います。
頑張っておしゃれしている人を見ると、頑張ってるなあと応援したくなります。
しかし先日、嫌なニュースを聞きました。

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トルコは世界一のデニム生産国です。
大手のヨーロッパジーンズの大部分を生産しています。
300万人のトルコ人が何らかの形でデニム事業に関わっています。
今流行りの洗いをかけたタイプや、ぼろぼろに生地を傷めた風合いにしてかなりのお値段ですが、よく売れているようです。
最近は、全く加工されていないタイプは眼向きもされません。

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基本的に生地の裁断、縫製まではちゃんとした工場で生産されるので問題ないのですが、その後の加工に関してはほとんど下請け業者に出すそうです。
約400000人の人たちがその後加工業に従事しているそうです。
この後加工には大きく2つの方法があります。
ひとつはストーンウォッシュと呼ばれる、軽石を入れた大きな洗濯機で藍を落とすタイプ。
もうひとつはサンドウォッシュと呼ばれるホースで砂を放出して部分的に洗い落とすタイプ。
薬品を使って部分的にとか、他にも技術は色々ありますが、大きくはこの2つ。

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このサンドウォッシュに従事している人たちが、環境が悪くてSilicose 珪肺症、珪石症と呼ばれる病気になる。
大体3年~6年でこれにかかるらしい。
だから圧倒的に20代後半から30代前半の男子。
すでに50人が死亡し、550人がこの病気がかなり深刻。全体で5000人くらいはこの病気にかかっているらしい。
去年の4月にようやくこの仕事に新たな条例が発効されて、設備等のチェックがかなり厳しくなっているとの事。
しかし現実には、まだまだ沢山の人たちが、昔の形態で従事しているらしい。
またこの部分的に藍を洗い落とすテクニックには膨大な科学薬品と水が使用されます。

おしゃれな人たちがこぞってエコロだとか、オーガニックだとか騒いでもこのニュースを聞くとどう考えるのでしょう。
こういったことを理解していたら、ファッショニスタは『 私はエコロなの!! 』なんて言い難いと思います。
デニムビジネスに歯止めをかける気はさらさらないのですが、今後の展開が気になります。

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私のG-ジャンは、もう半世紀以上前のもの。
東京を離れるときにリーバイスにいた知り合いから頂いたメイドインUSA。
真っ青の藍でした。
全体に色落ちしてあまりかっこよくないですが、パリでずっと私の人生と一緒に歩いてきたやつ。

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10代の頃、憧れの501を買って自分で色を落とすということに熱中した記憶があります。当時はジーンズを穿いたままフロに入ってシルエットを自分に合わせるとか、軽石で自分で擦るとかの色落としが流行ったモンです。

トルコはかなり進んでいるので、禁止条例とかも発令しやすかったのでしょうが、今はもっと原価を抑えるために、バングラデシュとかエジプトとか生産国が広がっています。
そういった国の人たちには、まだまだ未知の世界であり、この手の被害が広がりやすいかなという懸念もあります。

もっとも秋冬くらいからトップに入れた写真のような、きれいめデニムがヒットしそうなので、少しはこのブーム落ち着くかもしれません。




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by bienvenu-chez-moi | 2010-02-02 19:54 | モード  

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